第14回サバニ帆漕レース    2013年6月30日














































































いつもの事ながらレースが終わると、メインデッシュとも言えるサバニトリップが始まる。
今年は昨年と同じ西表島へ。 表彰式を終えた翌日に片付けと旅の準備をするからそれはそれは忙しい。そんな訳でレースの話をしていなかった。
レースからはだいぶ時間は経ってしまって、昨日食べたものすら思い出せない状態だが、写真などを見ながら行きます。

レース参戦の課題は多くいっぱいいっぱいなのだが、今年のレースは更にいろいろな事が重なってしまった。

まず私が管理している工房から3チームが出場する。
・やんばる  ・サバニトリップ  ・女海想     私は参戦しない。
訳あって参加しなかったが、今年は参戦しないで良かった。と思っている。大したことをしている訳ではないが、準備段階からやらなければならない事が山ほどあって時間が無かった。これで男海想も出場するとなるとどうなっていたのだろう。

6月25日火曜日

サバニの準備は整っているので早くから座間味に入って練習するつもりでいたが、風が治まりそうもない。海に降ろしても走れないなら意味がないので、結局皆が揃う28日金曜日に降ろした。恐らく名護での練習ならこの環境はむしろありがたく、勇んで海に出るところなのだが、本番を前にトラブルは避けたい。大体のトラブルはこんな風が強い時に起こる。更に初めての単船参加にいっぱいいっぱいの状態で自信喪失して貰っても困る。そんな訳でじっと我慢の日々が続く。


6月29日土曜日   マリリンカップ

参戦 初めての参加チームはいきなり那覇までのレースに参加するより、自分の位置を知る上では前日のレース参加はいろいろな意味でプラスになる。
まず女海想とサバニトリップ(以下トリップ)は、向うべき方向に最も近いところに位置をとる。そして、やんばるは距離はあるが最も風上である灯台側に位置をとった。どちらも私なりの戦略がある。やんばるはアウトリガーがあるため帆が大きく風をとらえてスピードで行ける。一方、トリップと女海想は漕ぎも帆も、やんばるに比べると劣る。だが抵抗が少ない分風上に上る能力は高い。帆もマストもサバニも全てにおいて抵抗が半分にも満たないからだ。それにアウトリガーが無いことがプラスされれば、単船は大きなアドバンテージを持つ。どこの位置を取ったところで風上に上らなければならない。なら、ゴールに最も近い位置からスタートし、まずは帆走を考えず風上に上り嘉比島ギリギリまで行って帆を上げる。
一方、やんばるは多少の風下への下りは仕方ない。スピードで距離を稼ぎ、頃会いを見て上ればいい。このコースのスタートの戦略はこんな感じだ。そしてそのどれもが何となく成功したと思われる。ただ、やんばるはヨットのように風を拾える位置まで上ってしまい、結局ロスしてしまった。ボートで追い付いて初めに発した言葉は「バカモノ!」だった。切りあがりができないサバニは、嘉比島手前で僅かに風が遮られるところを狙って風上に上らなければならなかった。先頭を行くやんばるに続いてエミ丸が同じコースを走っていた。余計なお世話かも知れないが知らんぷりもできないのでコース変更した方がいい事を伝えた。
結局、圧倒的なスピードで走っていたやんばるは、非力な女海想とクルー3人だけのトリップにも初めのコーナーまでは負けていた。トリップと女海想の戦略はあれで良かったと思う。 ここから先はコースの選択も戦略も極端に限られる。最短の点と点を線で結ぶしかない。 帆と漕ぎに勝るチームに対抗する術は恐らくないだろう。如何に自らの能力を最大限に生かしミスを犯さないか。しかない。トリップと女海想しか見ていないが概ね問題無かったと思う。 それにしてもトリップのサバニは進水式の時から感じた事だが滑らかな走りだ。 非力とはいえ女性5人のクルーに3人のクルーが勝ってしまった。技術だけではなくサバニのポテンシャルも無視できないだろう。その差がどこから来ているのか今はまだ分からない。


6月30日 日曜日

スタート前、伴送船がコース前方を塞いでいる。 前の年もそうだったが、どうもエンジンを過信している。恐らくスタートして向ってきたら逃げればいいと思っているのだろうが、ビーチに向って横に向いた船はそう簡単に逃げることはできない。また仮に逃げられて直接的な害が及ばないにしても、サバニ側の方が気になり邪魔になる。 我慢できずにボートで大きな手振りで蹴散らす。恐らく多くの伴送船は私をレース関係者だろうと勘違いしたと思う。近くで見たいのは分かるが節度もって欲しい。

スタート位置は、女海想は昨年2位だったので風下側になる。初参加のトリップとやんばるは風上になるが初めのコーナーからは距離は長い。この場合どちらが有利か?サバニ同士がぶつかり合うなどの不可抗力を抜きにすれば単純に距離が近い方が有利だろう。ただその差は1パーセントにも満たない距離だし、順位には何も影響もないだろう。むしろトラブルを回避しやすいどちらかの端の方が総合的にはいいと思う。
3チームへのアドバイスはそれぞれ違っている。やんばるへはラダーを差し込むまでは皆 で真っすぐ進む事だけに集中できれば早く混雑から抜き出る。イメージは山を作る。山の中心は自らの艇ということになる。

一方、女海想とトリップには慌てずゆっくりと乗り込み他のサバニを避けながら、進む。 これら3チームの対応は分かれても目的は同じだ。スタートでのトラブル回避。スタート時の混雑は長くても1分程しかない。トラブルの多くはスタートしてから30秒以内に起きている。たったこの数秒のためにリスクを冒す必要はないと思う。たった数秒、前に行くためにある船は一回転し、帆を降ろす羽目になったり、時には沈したりする。ゆっくりと乗り込んでも、その差は長くとも10秒ほどしかないことをどのチームも理解すべきだと思う。スタートは慌てずゆっくり、リズムをつくり漕ぎも風もその波に乗ったらそこから気兼ねなく走ればいい。

はっきり言ってボートは楽しい。慶良間の海を一人好きなところへ行ける喜びは癖になりそうだ。レースに出ている時は前のサバニしか目に入らず視界が極端に狭い。
ゴムボートでの伴送は自分のチームだけに限らずあらゆるチームをあらゆる角度から見られる。こんなに楽しいものはない。スタート前に何かと大声を張り上げる場面もあると思ったが、マリリンカップを除けば殆どそんな場面は無かった。皆あらん限りの力を振り絞っている。これ以上、何をどうしろ言うのだ。感動してこちらが泣きそうになる。
灯台下を越え座間味丸がいち早く抜き出ていた。外からグングン迫っているのがやんばるチーム。予想通りの展開だ。このまま、ざまみ丸を追って行けばコースのミスもなくどこかでかわせるだろう。少し戻って女海想とトリップを追う。ちょうど集団の真ん中にいて、それはいい景色だ。一人で乗っているのが勿体ない気がしてくる。
灯台を過ぎても風は上がってこない。トリップと女海想が集団の中でも渡嘉敷寄りに寄っていたので「左側を行け、ジシップ側に寄るな!」と指示。
潮は中心寄りを北に走っている。ジシップに近づいてから追い風、追い波は弱いとはいえ単船での操船はリスクを負う。
ざまみ丸とやんばるは早々とジシップを越え黒島に向けて走っているのが見えた。その内にやんばるのサバニがざまみ丸のサバニに重なって見えた。嬉しくなって追い越す瞬間に立ち会おうと思ってジシップの内側をショートカットして向った。角度の問題で並んでいる訳でも追い越す瞬間でもなかった。それでも灯台下よりずいぶん近づいているので、この分だとどこかで追い越せるだろうと思った。早く横に並んでプレッシャーをかけて欲しい。抜けない焦りから帆をバタつかせながら舵取りまでが漕いでいたので、「帆に風を入れて!漕がんでいい! 頑張れー抜けー」 と励ました。
この後、少し伴送して女海想、トリップに戻った。トップとの差が開きすぎたのでこの後は見ていない。大会関係者のボートからの情報ではトップはざまみ丸、それをやんばるが追っている。古式はエミ丸と源丸が競っている。と聞いた。この情報は考えてみれば納得いく内容なのだが、私のその時に印象は少し違っていた。やんばるはざまみ丸を抜いてトップを走り、エミ丸は古式で群を抜いている。と勝手に想像していたから・・
いずれにしても見ていない分、終わった時の結果が楽しみだ。女海想とトリップはそれぞれに伴送船がついている。だから私のゴムボートはどこへ行っても問題ない。ダラダラ後ろを走っていてもつまらないので他のチームへ見学&応援に行く。

定員6人乗りのボートに一人しか乗っていないので遠くに見えていてもかっ飛んで行ける。例年、レース中に前島の手前で「この島でしばし涼んでいきたい」衝動に駆られていた。そうだ今がそのチャンスだ。 前島西にあるビーチに向った。浅いリーフを越えビーチ手前でアンカーを投げ入れ係留した。潮はこれからまだ下がる。あまり調子にのって干上がったリーフに出られなくなったら洒落にならない。ゆっくりとビーチに足を踏み入れ、草むらに横たわり流れる雲が目に入った。 頭の中でこのまま海に顔を向けたらサバニが走っているのが見えるのだろうなーと想像した。直ぐに見るのが勿体なくてクバガサを日よけにして仰向けになった。 皆必死に漕いでいる中をこんなことをしているとは誰も想像していないだろうなー。そう思うと何だか申し訳ないような、そして自分だけの得難い特権を得たような・・

前島を越えると各チームのコース取りは微妙に変わってくる。各チームに遊びに行きながら女海想に向った。計画通りのコースを走っているし、皆必死だ。かける言葉が見つからない。チービシを越える辺りからは上る必要はなく、そろそろ戻してゴールに向かうよう指示。たぶん女海想はいいコースを刻んだと思う。問題はトリップの方だ。
前島はコース全体から言えば4割を越えたところ。その前島までは女海想と大きく離れていなかった。だが結果は40分以上の差がついてしまった。前島まではじりじりと離されてはいたが、何かのきっかけで追い付き追い越せた位置にいたし、現に前日のマリリンカップで勝っている。

なにがこの差を生んだのだろうか?恐らくコースミスだと思う。前島までは僅かに南に膨らみ前島では浅いリーフの上を走っていた。ここまでは申し分ないコースだった。ここから那覇に向け潮を考慮して僅かに上るからコースは前島北をギリギリに行くのはベストな選択だと思う。もしこの時、風が南西で島近くより島の外側の風が上がっているようなら、島影の影響を受けない外よりの選択もあるが、当日は島周辺は大きな違いは無かったと思う。トリップ号は前島を越え、開けた海に目標とする島もないまま前を走るサバニについて行ってしまったのだろうか?後で聞いたらチービシ環礁を目に前にして北に流されていることに気付いた。と言っていた。潮は真横からなら、サバニは走っているスピードと変わらず距離を稼げる。そして僅かでも潮に乗れたらそのスピードは加算される。一方、僅かでも上りになれば想像以上に遅くなる。 今回がそのいい例かも知れない。 まず風の角度が悪くなり、僅かな角度でも向い潮のロスは想像を超えるものとなる。 風や潮の悪影響を受けないよう、常に保険という名のもと余計に上ることを口酸っぱく言うのはそのためだ。
マコトはサバニトリップで日南へ行く途中、奄美の与路島水道で僅かな判断の違いが大きな差を生むことを、身を持って経験していた筈だ。風を、潮を、常に体に感じ意識することがどんなに大事か。このレースでも教えてくれたように思う。折角レースという素晴らしい環境が教えてくれているのだから体に取り込まないといけない。前島のリーフの上を越えたら本来のコースからまずは20度程上る。5分走って自艇が流されていなければ10度程戻す。流されているのかどうか分からない時は後ろを見て前島と自艇の位置を確認する。こうして30分も走れば何となく目指すコースは維持され、あれほどの差は出なかったろうと思う。私は霞んで見える島でも自艇がどちらに流されているのか何となく分かる。どうしてと聞かれても何となくとしか言いようがない。ただこの能力は特別なものではないと思う。潮はどちらかに流れていて自艇も必ず流されている。帰れなくなるかも知れない。そんな恐怖、別な言い方をすればビビっていれば身につくものだ。だからたとえ自分が操船していなくとも常に意識することは大事なことだ。ある人の言葉「臆病は財産だ。」を思い出す。

やんばるは、あれからざまみ丸を一度も抜かすことなく終わったようだ。ざまみ丸にとってもやんばるチームには勝って欲しかったが、急ごしらえのチームにそう簡単に優勝してもらってはダメだという事なのだろう。 女海想は単船での参加を目標に、そして見事に完走した。コースや戦略の自立は今後の課題にして、覚えることやらなければならないことは満載だが、取りあえず大きな山を越えられたのは褒められていいのだと思う。

今夏ボートであちこちのサバニを見ることができた。なかなか面白い経験になった。レースは見るより参加するものだ!と締めくくりたいところだが、今回の観戦はとにかく面白かった。適当な事を無責任に偉そうに言うのも楽しいなー






伴走船で協力していただいた
牧野さん
名護さん
まーさーさん
チーム綾風さん
のみなさま 本当にありがとうございました。


また、今年も多くの皆様から協力・協賛をして頂きました。

株式会社 林檎プロモーション 様
有限会社 ココブロス 様
株式会社 一点鐘 様
有限会社 コスモ不動産 様
株式会社 ゴールドウィン 様

本当にありがとうございます。

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